不動産投資についてネットで調べたり、あるいはセミナーに参加したりする中で良く言われていることがあります。
「不動産投資をすることで、生命保険の代わりになります」
このセールストークの意味するところはいったい何なのでしょうか?
そして本当に不動産投資をすれば、生命保険に入らなくても良いのでしょうか?
今回は、不動産投資と生命保険の関係性についてお話ししたいと思います。
”生命保険の代わりになるのであれば、不動産投資やってみようかなぁと考えている人”や、あるいは、”不動産投資を現在やっているけれど、この際契約している生命保険を解約しようかなぁ”と考えている人の参考になればと思います。
生命保険ってそもそもなんのために入るのか?
まずはじめに、生命保険から考えてみたいと思います。
みなさん、生命保険ってちなみにいつから入られてますか?
社会人になって会社勤めすると、決まってその会社に出入りしている大手生命保険会社の生保レディーから勧誘を受けましたよね。
なんとなく流れでよく考えずに入ってしまってそのまま、なんて方も多いのではないでしょうか?
ではそんな生命保険ですが、そもそもなんのために入っているのでしょうか?
自分が死んだときに家族が路頭に迷わなくてすむように
生命保険は自分のため?
いえいえ、何よりも家族(遺族)のためにという視点が大切です。
自分が万が一死んでしまった時に、真っ先に必要になることってなんでしょうか?
そうです、お葬式代です。
最近の傾向として、ド派手な葬式をやる、やりたいって人はそんなにいない傾向にありますが、平均で200万円くらいかかるようですね。
そして一番大きいのが、残された家族のその後の生活費です。
自分がしっかり働いていればコンスタントに毎月お給料が入っていたのに、あるときから一切入ってこなくなります。
もちろんボーナスも。
遺族年金は入ってきますが、自分ががっつり働けていたときと比べると当然家計としての収入は激減するでしょうね。
もしも子どもがいるとしたら、お金がないからという理由で、
- 留学を諦める
- やりたい習い事ができない
- 受講料の高い塾に通えない
- 海外旅行に行って世界を知れない
- 私立の学校入学を諦める
そんなことがあったら、死んでも死にきれませんよね。
いったい自分が死んだあと、家族にいくらのお金を遺すことが出来れば成仏できるのか、一度真剣に考えてみる必要があります。
自分が病気になったときに家族が困らないように
そしてふたつめの大きな理由です。
幸いなのかわかりませんが(笑)、命は助かったとしても、治療が長引く、あるいは多額の治療費がかかる場合です。
死なないで済むことは喜ばしいことなのでしょうが、ちょっと考えてみると、こちらのケースの方が事態は深刻かも知れません。
私は家族をガンで亡くした経験がありますが、このガンという病気、今では3人に1人が罹患すると言われています。
そしてそれだけに治療法や治療薬も日進月歩。
健康保険は適用されないものの、試してみる価値のあるものがたくさんあります。
しかし当然非常に高価です。お金がかかります。
家族としては助かる可能性があるのなら藁をも掴む思いで、色々と試してもらいたい気持ちであるとともに、治療が長期化することで貯金が底をつき、生活がままならなくなるというリスクがあることもまた事実です。
命とお金天秤にかけなきゃいけない人生なんて想像したくありませんが、何があるのがわからないのが人生です。
自分の治療費が原因で家族に辛い思いをさせなきゃならないなんて、なんとしても避けたいコトですよね。
そして治療の甲斐あって一命を取り留められたとして・・・
その後待ち構える可能性のある事実。
それは今まで通り働けなくなる、あるいは働きたくても働かせてもらえない日々が待っているかも知れないということ。
生活費は今まで通り、あるいは通院治療費などで今まで以上にかかるにも関わらず、収入は減ってしまう、ゼロになってしまうかもしれないということ。
これは正直一番怖い現実ですよね。
不動産投資のいったい”何が”生命保険の代わりになるのか?
では、不動産業者の営業マンは、セールストークの中でなぜ生命保険代わりになるって言ってくるのでしょうか?
続いてこれについて考えてみましょう。
多額の借金を背負ったまま死んでしまったらどうなるのか?
我々は不動産投資をする際、銀行からお金を借りていますよね。
その際に、必ず団体信用生命保険にも加入します。
これがものすごく大切で、営業マンがセールストークに使う理由でもあるのです。
なんと借金はチャラになります
まず我々が死んでしまったら、そのタイミングで残っている借金は帳消しになります。
そう、この団体信用生命保険が代わりに全額支払ってくれます。
なので、残された奥さん、子どもたちにその返済義務が引き継がれるってことはありません。ご安心ください。
マンションはそのまま家族に相続されます
借金を帳消しにしてもらった代わりに、そのマンションはどうなるのでしょうか?
銀行に持って行かれる? 信用生命保険会社に持って行かれる?
いえいえ、安心してください! ちゃんとご家族の元に残ります。
ただし他の財産と合算されて相続税の対象になりますので、場合によっては、相続税が発生します。
その後の家賃収入も入り続けます
借金も帳消し、マンションも残る。
・・・と言うことは、自分が死んだあとも、家賃収入が家族に入り続けるわけです。
当然管理費やら修繕積立金などの経費も発生しますが、支出で一番幅をきかせていた銀行への借入金の返済がそっくりそのままなくなります。
これってなかなかすごいことだと思いませんか?
実はこの効果こそ、営業マンが口を揃えてトークする、「不動産投資が生命保険代わりになりますよ〜」たる所以なのです。
自分が死んだとしても、毎月家族に一定額の収入を残すことが出来るわけです。空室にならない限りずっとね。
さらに遺族にはマンションを売却するという選択肢も生まれます。
子どもの留学でまとまったお金が必要になった際も、売ってしまえばいいのです。
インカムゲインで遺族年金代わりにするも良し、キャピタルゲインで生命保険の一時金代わりにするも良し、ですね。
でも・・・不動産投資が生命保険の代わりにならない理由とは?
ここまで読んでくると、まるで不動産投資をしていれば、生命保険の代わりになるように読み取れてしまうのですが、そう簡単にいかないのが人生です。
なぜ、不動産投資が生命保険の代わりにならないのか、daikokuが考える理由をお話いたします。
ケース1:自分が病気になって高額の治療費が必要となった場合
まず最初に考えるべきケースは、自分がガンなり脳卒中なり糖尿病なり、重い病気を患って、運良く?運悪く?死ななかったとき。
死ななかったのはいいことなのかも知れませんが、手術代や治療費が高額だったり、長期間の入院が必要になってしまった場合、どんな未来が待っているのでしょうか?
先進医療は健康保険が適用されない
ガンになったりすると健康保険のきかない先進医療という選択肢がたくさん用意されています。
健康保険が適用されませんが、新しい技術、新しい医学により、もしかしたらその病気に効果を発揮するかも知れないと言われている治療や薬。
なんとしても生きたい、と思う人であるならば、やはり試してみたいですよね。
ただしめっちゃお金がかかります。
そんなときに効果を発揮するのが、先進医療特約付きの生命保険です。
上限はあるもののお金のことを心配せず治療に専念できるというのは心強いですよね。
治療が長引き、仕事を辞めなければならなくなったら、家計がヤバい
それから、体調を崩して治療に専念するために入院したり、病気に打ち勝っても、それまで通りの体力を維持できなくなったりして、今の仕事を辞めなきゃいけなくなったとき。
怖いですね〜。不安ですね〜。
命を永らえたことには感謝しなきゃいけませんが、その後の人生の生活費は容赦なく必要となってきます。
そして当然不動産のローンも返済していかなきゃいけません。
空室が出た際には自腹を切って銀行に返済しなきゃいけませんよね。
毎月のお給料があれば何とかならないこともありませんが、仕事を辞めた身としては状況は非常に厳しいです。
売却してキャピタルゲインを得られれば万々歳ですが、万が一不動産相場が大きく下落している局面での売却では、売却金でローン残債が払いきれない状況が起こらないとも言い切れません。
想像しただけで気持ち悪くなりますね・・・
ケース2:自分が死んでしまって家族が相続した場合
ふたつめのケースとしては、自分が死んでしまってマンションを奥さんなり、家族に相続した場合のケースです。
ローンが帳消しになった投資用マンションを相続できるんだから、遺族は大喜びだろう、まさに生命保険代わりではないか!、と思われがちですが、それがそうでもないケースも想定しておいた方が良さそうです。
空室が出た場合や、様々な経費・確定申告などの労力は家族の負担となる
借金がなくなるため、銀行へのローンの返済はなくなりますが、毎月の管理費・修繕積立金などのマンションのランニング費用については相変わらず残ります。
そして、毎年の確定申告の手間も発生します。
それまで一度も確定申告をしたことのないばかりか、税金のことに全く関心のない遺族が、それまでの自分に変わって一人で日々の帳簿付けから確定申告まで出来るとは、なかなか想像できません。
税理士に頼むにしろ、ゼロから自分でやり方を覚えるにしろ、やはり負担には違いありません。
空室だっていつかは出るかもしれないし、売却を考えるにしても、全くの興味なし、予備知識なしでは騙されたりしないか、しっかり進められるか、我々は天国から不安で不安で仕方がないことでしょう。
不動産投資の諸々含めてちゃんと引き継げるかどうかは、人を(遺族を)選ぶような気がします。
結論! 不動産投資は生命保険の代わりにはならない。それはそれ、これはこれで併用することが良い
さて、ここまで不動産投資と生命保険についてそれぞれ見てきましたが、結果的にわたくしdaikoku的には、不動産投資と生命保険は全く別物、つまりは、貯金と株どっちがいいですか?というような話と似ていると考えます。
それぞれ特性が違い、どちらにもメリットデメリットがある、ということです。
不動産投資による生命保険効果はあくまでもプラスアルファ、ないよりはマシ、程度に考えておく
とは言うものの、不動産投資を行う際に必ず団体信用生命保険には入ることになりますので、間違いなく自分が死んでしまった時に借金も家族に遺してしまう、という最悪の状態は防げる、ということは好材料として認識しておいて良いと考えます。
加えて、家族が相続する投資用マンションについては、まさか価値が「0(ゼロ)円」になるということはないでしょうから、(あっ、少なくとも私がオススメする都心駅近マンションであるということが前提ですけど)そのマンションの価値分の保険金(資産)も家族に残せるということです。
みんなが元気なときから家族と賃貸経営について話しておく
そしてここは強くオススメしますが、不動産投資について自分が元気なうちから、普段から配偶者には、そして可能であれば、子どもたちにもいろんな話をしておいた方がいいと思います。
不動産投資とはどういうものなのか、どんな仕組みでお金が流れていくのか、確定申告でどんなことをしているのか?
奥さんであれ、旦那さんであれ、例え子どもであったとしても、包み隠さずいろんな話をしておいてください。
全く不動産投資のことがわからない人、興味なんてない人にわかりやすく、不審がられずに説明出来るようになることが、実は不動産経営力を鍛える一番の近道ではないかと私は密かに思っております。
そしてあわよくば、奥さんも、旦那さんも、さらにはいずれ大人になった子どもさんもが、不動産投資をするようになればいいなぁなんて妄想しております。
病気になったときの生活については、不動産投資とは切り離して、しっかりと生命保険でリスクヘッジしていく
先ほど述べたように、病気については、”治療にかかるコスト”と”その後の生活費”という、2つのリスクに備える必要があります。
いわば、病気に対するイニシャルコストとランニングコストでも言いましょうか?
ここで私daikokuの生命保険の契約内容について参考までにご紹介いたします。
治療にかかるコスト対策として(イニシャル)
私の友人で白血病になった人がいるのですが、とにかく最初の検査代に飛ぶようにお金がかかるようです。
もちろん検査費用については健康保険の高額医療費の請求をすることで後々還付されますが、それでも最初は持ち出しが発生します。
そしていざ手術、入院となれば何十万単位のお金を請求されます。
それらの負担に対応するためにはやはりまとまったお金、すぐに使えるお金が必要ですよね。
そんなときに株を売って・・・とか、マンション売ってお金に換えなきゃ・・・なんて余裕ぶっこく時間と心の余裕はありませんからね。
そんなまとまった現金に不安のある人には生命保険の特約で医療保険に入っておくこともアリかも知れません。
私は家族をガンで亡くしていることもあり、ガンと診断されたら一時金として300万円が一括してもらえるものに入っております。
そしてそれは掛け捨てではありません。
掛け捨ての保険は一見安上がりのように見えますが、長期にわたってトータルで考えるとコスパはそんなに良いとは私は考えません。
いきなり300万円の現金は用意できないので、長期にわたり積立を行いながら、いつなんどきガンと診断されても即300万円もらえる、というのは生命保険でないと実現できない芸当ですよね。
仮に保険料の支払期間中にガンにならなかったとしても、満期を迎えた時点で300万円プラスアルファのちょっとした運用益が戻ってきます。
これはとても効率が良いことだと考えます。
その後の生活費対策(ランニング)
では、仮に自分が病気になって死んでしまったら・・・遺された家族はどんな生活が待っているのでしょうか?
それまではお給料もある、家賃収入もある、順風満帆の財政状況だったはずですが、ひとたび大黒柱が死んでしまうと・・・
お給料は入ってこない、そして運悪く空室が発生したりしたら・・・
銀行へのローン返済の必要はありませんが、先述したように管理費・修繕積立金の支払いは自腹を切らないといけません。
まして子どもたちが大学に行く、留学したい、自宅のリフォームも必要、なんてことが重なったら、残された奥さんはどうなるでしょうか?
うちの場合、自宅をペアローンで購入しておりますので、私が死んだ場合、私のローンはなくなりますが、妻のローンはそのまま残ります。
自分のローンの返済をしながら子育て、そして不動産経営をしなきゃいけない。
そんな余裕あるわけないですよね。金銭的にも肉体的にも精神的にも。
そのため、少なくとも金銭的不安から解放してもらうために、妻が60歳になるまで遺族年金のように毎月毎月20万円が振り込まれるような「収入保障保険」に加入しております。
これがあることで、妻は、自分の給与収入と公的な遺族年金とは別に、さらに20万円を毎月手にすることが出来ます。
そして、順調に賃借人が住んでくれる限り、賃貸収入も入ってくる、という塩梅です。
こうして病気後の生活費対策をとるようにしております。
生命保険の「見直し」は定期的に行った方が良い
不動産投資と生命保険のそれぞれのいいとこ取りをしつつ、デメリットを互いに打ち消し合うような形で運用していくことが良いのではないでしょうか?
結婚したとき、子どもが生まれたとき、自宅を購入したとき、投資用のマンションを購入したとき、子どもが成人したとき・・・というように、人生の様々な節目のタイミングで、生命保険の「見直し」を行った方が良いと考えます。
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